天使の舞―後編―

  想いは届くか

爽やかな秋晴れであった。


久々のお天気に、乃莉子の足取りも軽く、気分よく定期講読をしてくれている、近くの喫茶店へと配達に出掛けている最中だった。


人間界に戻ってきた乃莉子は、シュカの魔力で消された存在を復活させてもらい、居なかった数日間は旅行に行っていた、という事にした。


旅先は秘密である。


魔界と天界の事は、口が割けても言えないし、嘘をついて誤魔化せる程、乃莉子は器用ではなかった。


「いつもありがとうございます、メルヘンです。
定期の雑誌お持ちしました。」


「あっ!
悪いね乃莉ちゃん。
ちょっと待ってて。
月末だから、今日は集金だよね?」


カウンター越しにマスターから、声が飛んだ。



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