天使の舞―後編―
人通りの少ない裏道で、キャスパトレイユは乃莉子を街灯のかげに追い込んだ。


「ちょっと、キャス!」


抗議の声を上げた乃莉子の口は、直ぐ様塞がれた。


キャスパトレイユは、会いたくて、会いたくて、たまらなかった乃莉子に、力一杯口づけたのだ。


大切な乃莉子を連れ戻そうと、会いに来てみれば、当の本人は知らない男に抱きしめられていて。


助けに入れば、冷たい視線を浴びせられ、自分の知らない話を聞かされた。


そんなキャスパトレイユの感情は、大揺れに揺れて、乃莉子が欲しくて我慢の限界だった。


唇が離れると、キャスパトレイユはギュッと乃莉子を抱きしめる。


「早く、こうしたかった。
もう離さないからな。」


「止めて!離してよ!」


喜んでくれるとばかり思っていたのに、乃莉子の口から飛び出した想定外の言葉が、キャスパトレイユを驚かせた。


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