天使の舞―後編―
万人をも魅了して止まない、あの魅力的な笑顔で、キャスパトレイユは乃莉子に告げた。


「安心していいぞ。
その件なら、解決してきた。
今まで付き合ってきた女達は勿論、現在進行形だった三人の女とも、手を切った。
乃莉子は、何にも心配しなくていいぜ。
俺が愛する、唯一の女だ。
そして、たまたまその女が、人間だったってだけだ。
今まで、何人の女と付き合っても感じなかった、愛しいという想いが、乃莉子には芽生えた。
俺の妃は、お前以外に考えられない。
乃莉子が手に入るなら、覇王にだってなってやるさ。」


キャスパトレイユは、嬉しさのあまり、有無を言わさず、乃莉子に口づける。


乃莉子は、目の前で繰り広げられた、愛の告白劇場を、どこか他人事のように聞きながらも、胸の辺りがキュンと鳴いたのを、確かに感じていた。


これが・・・恋・・・。


キャスパトレイユの唇が離れ、またもきつく抱きしめられながら、乃莉子は自分の想いを受け止めたようであった。


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