天使の舞―後編―
「ヤなんだよ!
乃莉子があいつと話すんの。」


まるで、駄々っ子である。


乃莉子もこの短期間で少しは成長がみられ、今のキャスパトレイユの態度が、焼きもちである事が、分かるようにまでなった。


隣に居た、可愛らしい女子高生を押し退けて、自分の話を優先してくれた事も、甘酸っぱく感じられる。


乃莉子はキャスパトレイユの言葉を聞いて、かなり嬉しかったのだが、でもこれは仕事。


どこまでも真面目な乃莉子は、さっき自分で言ったように、仕事に私情を挟む気はなかった。


「だって、これからも配達はあるのよ。
その度にキャスが行くの?」


「俺が居る時は、俺が行く。
都合が悪い時は、宮田に行かせればいいだろ。
これ持って行けばいいのか?」


キャスパトレイユは乃莉子が手にしていた雑誌を、奪い取るようにして小脇に抱え、ちょっと隣を気にした。


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