天使の舞―後編―
「あ~・・・君!
俺は配達があるから、君はこの愛しい俺のヨメに、相手をしてもらいなさい。」


キャスパトレイユはそう言うと、空いている左手を乃莉子の肩に回し、頬にチュッと軽く口づけた。


そして、瞳をキラキラさせて、キャスパトレイユを待っていた女子高生には、見向きもせずに、キャスパトレイユはそそくさと配達に行ってしまった。


残された女子高生は、驚いた表情をして乃莉子を見る。


「え~!
キャスくんと、結婚してるの~?」


「してない!してない!」


乃莉子は、慌てて手を振って否定した。


そんな乃莉子を怪訝そうに一睨みして、女子高生は一緒に来ていた友達の所に、引き返してしまう。


『キャスの無神経!』


乃莉子は心の中で叫んではみたものの、そっと頬に手を添えると、思わずニヤっと笑みがこぼれるのであった。

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