天使の舞―後編―
キャスと矢崎さん、大丈夫かな・・・。


乃莉子はやはり心配で、二人を思わずには、いられない。


適当に、手近にあった雑誌の乱れを直しながら、言い合いになっていないかと、ソワソワしてしまう。


「すいませ~ん。」


レジで待つお客さんに呼ばれて、乃莉子は我に返った。


「はい!お待たせしまして、申し訳ありません。」


乃莉子は元気よく返事をして、レジに走った。


―――。


そんな乃莉子の心配は、ものの見事に、的中していた。


喫茶ヤザキの店内では、聞くに忍びない、不毛な言い争いが、繰り広げられていたのだ。


「またアンタか。
なんで乃莉ちゃんが、配達に来ないの?
単なるアンタの焼きもちで、俺の楽しみ奪わないでよ。」


「はぁ?楽しみ?
残念だな、乃莉子に会うというお前の楽しみは、もう実現する事はないぜ。
何故なら乃莉子は、この俺様のモノだからだ。
俺が乃莉子を、お前なんかに会わせるわけが、ないだろ。」


「・・・男の嫉妬ほど、見苦しいものはないよ。
モノ扱いされてる乃莉ちゃんが、心から可哀想だ。」


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