天使の舞―後編―
「フフフ・・・。
ここですよ・・・上です。
キャスパトレイユ様。」


そんな笑い声と一緒に、空から人影が降りてきた。


「誰だ?お前・・・。」


目の前に降ってきた見覚えのない人物に、眉間にしわを寄せたキャスパトレイユは、軽く臨戦態勢の構えをとった。


普通の人間なら、空からやって来たりはしないし、背中に翼は持っていない。


しかも、その翼の色は黒い。


キャスパトレイユは、ピン!と何か閃いたらしく、口元に意地悪そうな笑みを浮かべた。


「乃莉子が言ってた、アマネの妹って、お前だな?」


「イザヨイって、呼んで下さ~い。」


すぐに正体を言い当てられたイザヨイは、恥ずかしそうに体をくねらせて、キャスパトレイユを上目遣いでチラ見している。


キャスパトレイユは、怪訝そうにイザヨイを観察してから、伺うように口を開いた。


「お前、方翼か?」


「やだぁ・・・。
見られちゃいました?
みっともないから、隠しますね。」


イザヨイは、恥ずかしそうにパチンと指を鳴らして、あっという間に人間の姿に、変幻した。

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