天使の舞―後編―
イザヨイの整った美貌から、笑みは消え、眉が軽く上がる。


「離しませんよ。
あたし、キャスパトレイユ様の妃になりたいの。
あたしを乃莉子だと思っていいから。」


そう言うと、イザヨイは握っていた両手を放し、キャスパトレイユの額を、トンっと、指で軽く突いた。


キャスパトレイユは、一瞬目を見張り、瞳の色を無くしたが、左右に頭を振ると、意識を戻したようだ。


「キャスパトレイユ様。
大好き。」


イザヨイは再びキャスパトレイユに、笑顔を向ける。


「・・・・・。うん。」


キャスパトレイユは、イザヨイに静かに答えた。


それを聞いてイザヨイは
『キャッ。』
と、嬉しそうにキャスパトレイユの腕にしがみつく。


少し迷惑そうな顔をしたのだが、キャスパトレイユはイザヨイを突き放す事はなく、そのまま二人でメルヘンへと向かうのだった。

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