天使の舞―後編―
甘い回想
仕事を終えた乃莉子は、疲れた足取りで、アパートまで辿り着いた。
玄関のドアノブに手をかけたのだが、何やら思い詰めた表情で、開けるのをためらった。
メルヘンでの一件が、ぐるぐると乃莉子の頭の中を掻き乱し、ぐっと唇を噛む。
―――。
宮田から、始めて真剣な指導を受けた乃莉子は、仕事に対して改めて、気を引き締めはしたのだが・・・。
その、呼ばれた事務室にキャスパトレイユの姿はなく、乃莉子を不安にさせていた。
目の前で忽然と消えた、キャスパトレイユを想うと、宮田の話は右から左に抜けてしまい、仕事どころではない。
キャスパトレイユはイザヨイと一緒に、消えてしまったのだから。
乃莉子は、あまりの突然の出来事に、しばらく呆然とその場に佇むしかなかった。
「広木さ~ん。聞いてるぅ?」
心ここに在らずの乃莉子に、声をかけた宮田は、キャスパトレイユが居なくなった事を全く気にしていないようだ。
むしろ、キャスパトレイユなど、初めから居ないかのような態度である。
玄関のドアノブに手をかけたのだが、何やら思い詰めた表情で、開けるのをためらった。
メルヘンでの一件が、ぐるぐると乃莉子の頭の中を掻き乱し、ぐっと唇を噛む。
―――。
宮田から、始めて真剣な指導を受けた乃莉子は、仕事に対して改めて、気を引き締めはしたのだが・・・。
その、呼ばれた事務室にキャスパトレイユの姿はなく、乃莉子を不安にさせていた。
目の前で忽然と消えた、キャスパトレイユを想うと、宮田の話は右から左に抜けてしまい、仕事どころではない。
キャスパトレイユはイザヨイと一緒に、消えてしまったのだから。
乃莉子は、あまりの突然の出来事に、しばらく呆然とその場に佇むしかなかった。
「広木さ~ん。聞いてるぅ?」
心ここに在らずの乃莉子に、声をかけた宮田は、キャスパトレイユが居なくなった事を全く気にしていないようだ。
むしろ、キャスパトレイユなど、初めから居ないかのような態度である。