天使の舞―後編―
キャスパトレイユは、グスっと鼻をすすってから、コホンと咳払いをする。


「悪い。」


短く謝って、キャスパトレイユは先を続けた。


片膝をついた姿勢を崩す事なく、キャスパトレイユは三人に、再度頭を下げる。


「何も言わずに、俺の事は忘れてくれ。
俺、本気で妃にしたいと思える女を見つけたんだ。
この先お前達と、どうなることもない。
この通りだ。」


三度深々と頭を下げたキャスパトレイユに、トルティナは眉を下げて、アーナスは眉を上げて表情をしかめたが、声を発したのは、ライラ一人だった。


「キャスパトレイユ様、本気で人間の娘をお妃様に迎えるのですか。
先日のお方の事ですよね?
とうとう、あんなに嫌がっていらっしゃった覇王に、おなりになるのですね。」


ニコッと笑って立ち上がり、ライラはキャスパトレイユの隣に膝を付いた。


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