天使の舞―後編―
キャスパトレイユはライラを見つめる。


少し意外な行動だったからだ。


「あぁ、そうだ。
俺は乃莉子を妃に迎える。
乃莉子を妃にできるなら、覇王にだってなってやる。」


真剣な表情で、噛み締めるようにキャスパトレイユは、言った。


「そうですか。」


ライラは下を向く。


他の二人は軽く目を合わせて、首をすくめた。


「王子にお声をかけて頂いて、とても光栄でした。
一時の幸せでしたが、生涯忘れる事はありません。
どうか、お幸せに。」


そう言ったのはアーナスであった。


アーナスは眉を上げたまま、早々にキャスパトレイユに見切りを着けて、振り返りもせずにその場を立ち去った。


そんなアーナスを目で追って、トルティナは瞳を潤ませた。
そして、キャスパトレイユに視線を移す。


「あんまりです、王子様。
少なくとも私は、本気でございました。」


「悪いと・・・思っている・・・。」

トルティナの言葉に、キャスパトレイユが項垂れると、ミルクティー色の天然パーマが揺れた。

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