天使の舞―後編―
それが幸いしたのか、キャスパトレイユのモヤモヤしたものが、少し晴れた気がした。


「や・・・やだ。
キャスパトレイユ様、怒らないで。
ごめんなさい。」


慌ててイザヨイはキャスパトレイユに謝る。


しかしキャスパトレイユが、イザヨイに返事をすることはなく。


「う・・・。」


急に頭を抑えて、低く呻いた。


「キャスパトレイユ様!」


咄嗟にライラが駆け寄る。


「頭が・・・締め付けられる。」


突然の痛みに、堪らずしゃがみこむキャスパトレイユに、トルティナも駆け寄り、イザヨイはその場で右往左往している。


「どうしよう・・・キャスパトレイユ様。
もしかして、あたしのせい?」


ポツリと呟いたイザヨイの言葉を、ライラは聞き逃さなかった。


「やっぱりあなた、何かしたのね?」


2人で鏡の間から出てきたところを、偶然見かけたライラは、キャスパトレイユが連れ帰ったのが乃莉子でない事に、違和感を感じた。


当然その2人を捕まえて、すぐさま中庭まで連行した。


そこへ、たまたま居合わせたトルティナも加わって、今に至る。


神様の、いたずらであろうか。それとも必然であったのか。


この状況からして、イザヨイの企みはそう長く続きそうにない。
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