天使の舞―後編―
例えアマネにかけられた魔力であったとしても、きっとキャスパトレイユは自力で、その妖しから抜け出たに違いない。


キャスパトレイユの乃莉子への想いは、もう誰にも阻むことなど、出来るものではなかった。


「ヨゾラくん。
ありがとう。私キャスに会えたよ。」


「うん。
僕も、イザヨイに会えた。
お互い、目的は果たせたね。」


軽く笑ってヨゾラは乃莉子に答えた。


そんなヨゾラは、両腕に少しばかり力をこめて、イザヨイがキャスパトレイユに駆け寄ろうとしているのを、受け止めている。


この後に及んでイザヨイはまだ、キャスパトレイユの元へと行こうとしていたのだ。


「なんで・・・?
なんでなのキャスパトレイユ様。」


イザヨイは諦めたのかポツリと呟いてから、力なくヨゾラの足元にペタンと座り込んだ。


ヨゾラもその場に膝を着く。


「イザヨイ。帰ろう。
イザヨイはずっと、僕と一緒に居たらいいんだよ。
僕が絶対、イザヨイを幸せにするからさ。
・・・ね?」


ヨゾラは精一杯の微笑みを、イザヨイに向けた。
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