天使の舞―後編―
先ほどまでの、浮かれたキャスパトレイユの影は消え、一変真剣な表情に、乃莉子は見つめられている。


しかも、そのキャスパトレイユの表情は、若干の熱を帯びて色っぽさが増していた。


「乃莉子・・・。」


甘い甘いキャスパトレイユの声が、乃莉子を呼ぶ。


「なんか、キャス・・・。
いつもと雰囲気が、違うんだけど。」


「そうか?」


「うん。
豹とかチーターとか、猫科の肉食獣みたいな目をしてる。
ちょっと怖いよ・・・。」


「・・・・・。
あながち、間違ってないかもな。」


「えっ?」


ニヤっと、妖しい笑いを乃莉子に向けてから、キャスパトレイユはひょいっと乃莉子を抱き上げて、スタスタと奥の部屋へと歩いて行く。


「えっ?えっ?」


乃莉子はフワリと浮いた自分の体に驚いて、辺りをキョロキョロと見渡す。


そして乃莉子は、目の前に飛び込んできた風景に、絶句した。
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