天使の舞―後編―
清潔にメイキングされた、それはベット。


奥の部屋は、キャスパトレイユの寝室であったようだ。


静かにその上に下ろされて、乃莉子は思いきり唇を尖らせた。


「なんだよ、その顔。」


キャスパトレイユは、クスっと笑う。


「ダメか?
俺はもう、かなりの限界なんだけど。
乃莉子の全部を抱きしめたくて、ウズウズしてる。
この気持ちを、どうすればいいんだ?」


ミルクティー色の緩い天パをかきあげて、キャスパトレイユは乃莉子に熱い眼差しを送る。


「どうすればいいって言われても・・・。」


拗ねた顔をしては見せたが、その実乃莉子は、心臓が飛び出してしまうのではないかと思うくらい、ドキドキしていた。


キャスパトレイユに奪われていなければ、キスも未経験だった乃莉子に、当然それ以上の経験なんて、あるはずがない。


何人もの女性と、逢瀬を重ねているであろうキャスパトレイユとは、心構えもモチベーションも違うのだ。
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