もしも愛が買えるなら
「あっ! じゃあ、この前一緒だった女の人もお客さん?」

「そうだよ」


あたしはレストランでの、二人の光景を思い出していた。

あの、お金持ちそうなオバサンは、きっとリョウを好きなんだ……。

あたしがモヤモヤした複雑な気持ちでいると、リョウはあたしの肩を優しく抱き寄せた。

あたしはときめきで胸がキュンとなる。

リョウは小声でささやくように言う。


「ミユキが俺と付き合ってくれるなら、この仕事も頑張れるよ」

「リョウくん。あたし、嬉しい」


リョウはあたしの肩を抱いたまま、パソコン画面を指差して言う。


「ここ見て。これが俺の指名料」
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