もしも愛が買えるなら
ファミレスでの食事代はリョウが払ってくれた。

「私が払う!」って主張したけれど、リョウはレシートを譲らなくて。

そんな男気が嬉しかった。

ファミレスだけじゃなくて……

待ち合わせ場所でのお茶代も、ネットカフェの代金も、全部払ってくれた。


『ミユキは彼女だもん。最初のデートくらい、俺に払わせてよ』


そんなリョウの言葉に舞い上がったあたし。

ファミレスを出て歩きながらリョウは言った。


「今日はありがとう! また近いうちに会えたらいいな!」

「あたしも! 今度はいつ会える?」


あたしは飛び付くように訊ねていた。


「そうだなぁ。今週はもう指名の予約で埋まってるし……」


リョウは考え込むような顔。

あたしはハラハラした。

今はこんなにイイ感じのリョウとあたし。

でも……

次の約束が出来ないと、やっぱり不安だよ。

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