もしも愛が買えるなら
20万の貯金がなくなることなんか、いつの間にかどうでもよくなっていた。

リョウに会いたい!

リョウに喜んで欲しい!

この時のあたしには、そんな気持ちしかなかったから……。


翌日――。

仕事を終えたあたしは下北沢に向かう。

駅の改札に着くと、リョウの姿が見えた。

リョウを見た途端、あたしの胸はキュンとなる。

あたしを見つけたリョウが近寄って来た。


「ごめんね。こっちまで来させちゃって」

「ううん、いいの」

「俺、ミユキに会いたくてたまらなかったよ」


切なそうにリョウは言った。

その言葉とリョウの表情に感動するあたし。

胸の鼓動はキュンキュン高まるばかりだった。

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