カラス
こんなことなら、
パーティーをもっと早く抜け出して
沢山彼と話せば良かった。
だって、もうすぐ終わってしまうから、
彼は帰らなくてはならない。
会えなくなる。
「ねぇ、優輝さん。」
あと、残された時間は少しだけ。
「キス、して?愛してるって言って?」
我が儘かな?
最後だから、少しだけだから、
許してね?
「時間がくるまで、抱きしめて――…」
両手を伸ばして懇願する。
最後だからと心の中で付け加えながら。
「ッッ!!」
そんな悲しそうな顔しないで。
泣かないで。