カラス
グイッと強い力で引っ張られる。
貴方の涙が私の頬を濡らした。
「大好きです、伊織っ………!!
愛して、います……!!
ずっと、ずっと貴方だけを、僕、はっ!
伊織、愛していますっ!!」
ギュー…と強く抱きしめられ、
貴方の温もりを感じ、私まで泣きそうになる。
「私も、優輝さん……
優輝のことを愛していました。」
私は泣かない。
泣いたら、駄目だから。
いつも、私は貴方に頼っていた。
頼りすぎていた。
だから今日ぐらい、
優しくおとされるキスに
揺らぎそうになったけど
覚悟したんだから
大人でいさせてね。
鐘の音が私達に別れを告げた。