カラス
にこり――――と、
厭らしいほどの嫌悪感を
露骨に顔に出しながら、窓枠に立つ。
「あ、トドメさしてないや。
いいよね?俺、依頼は果たしたし。」
こんな依頼は懲り懲りだな〜と
深く帽子を被り、
右手でツバを押さえたまま、飛び下りた。
ブワッッと風が全身にあたる。
服も慌ただしく膨らんでいた。
現在時刻、午前3時21分。
ほんの数台しか通らない車達を横目に
一軒家の屋根に音もなく着地。
スッと気配を絶ちながら、
闇に紛れ消えていった。