カラス
「な、なんでそんなこと…!!」
なんて、哀しい夜だろう。
恋を失い。愛も失い。
命までも…。
「聞、きたい、です」
どうせ、死ぬ。
心構えして、今のこの緊張感を消したい。
楽になりたい。
「聞きたいです」
また、笑った。
「キミの父親だよ」
父親…。父親…?
「私…、は?」
「もう、死んでるでしょ♪」
「――――――…え?」
私は慌てて体を見渡す。
何も外傷はない。
どういうこと…?
彼は笑うだけ。