カラス
依頼は暇潰しに過ぎない。
そんな暇潰しの残りカスなんて
微塵も楽しくない。
だからあまり好きではない。
遭遇したくはない。
でも、殺し屋なんてしてると、
必ずついてきてしまう、それ。
はぁ………、今日は厄日だね。
*
伊織に別れを告げて、森の中を暢気に歩く。
深夜の森は静かで、
闇に紛れるにはちょうど良い
不気味さもあった。
風の音しか聞こえない、、、
………今、微かに違う音がした。
「………出てこいよ、
其処にいるんだろ、昇」
低く威嚇するような声がした。
残念だが、『今』の僕は昇ではない。
何より厄介事は勘弁してほしい。
よし、帰ろっと♪
関わらないのが楽だ。
多分。