カラス
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―――――…
「貴方は今、お帰りですか」
「あれ?碧嵐じゃん、今日も大きいね♪
その頭身を少し僕に分けてくれよ」
アジトに戻ると、
眼鏡を掛けた長身の男が僕の部屋で、
にこやかに立っていた。
彼はレオ直属の部下だ。
何時も嘘臭い笑みを貼り付けている大男、
と僕は認識してる。
「いやですね、それは困ります。
『あげます』なんて言ったら、
貴方に首を跳ねられそうだ」
「それ以外の方法だと、
君から頭身は奪えないからね」
「しかし、奪ったところで。…ですよ」
クツクツと笑う姿は、
レオとは真逆かも知れない。
「いーんだよ。僕にプラスがなくても、
世界から長身が減るから」
「1人だけ、ですが?」
「しようと思えば、世界を殺してまわるさ。
……1人でね☆」
含み笑いを浮かべ、シルクハットを投げる。
頭の良い彼はコレだけで察するだろう。
僕が1人で殺しに旅立つ日。
それは乃ち―――…。
帽子はカラン―…と帽子掛けに掛かった。
「…そうですか。『1人で』ですか…。
ねぇカラス。烏は本当に
共食いがお好きなのですね」
「何を言っているの、碧嵐?
僕は君達と同じ目線で、
立っていたことなんて一度もないよ」
共食いじゃない。
ただの捕食さ。