カラス
「はぁ。君みたいな人間は、
それはもう大嫌いでね」
彼はふぅ。と息を吐き、
やれやれと首を竦める。
「でもね、仕事は仕事。
同情も情けも掛けない。
だから、君の手は俺には届かない」
そういうことだから、じゃあね♪
「………待っ………」
彼はドアの鍵を外して、
なにくわぬ顔でドアを開ける。
駄目だ。行くな。殺すな。
殺さないでくれ…。
―『私達とは血の繋がりのない余所者』
――『腹の下で何を考えて、
その台詞が出るんだか…』
どんなに貶されても、皮肉られても、
あの二人は俺の大切な……
バタン
兄弟、なんだよ…。
血生臭い風が、吹いた気がした。