カラス
*
「〜♪〜♪〜♪」
軽い足取りで少年は廊下を歩く。
「転落♪1刺し♪焼〜死♪」
口ずさんでいる歌は自作だ。
今適当に歌っているだけの。
「…あとは、この屋敷を燃やすだけか」
ピタリと足を止め、屋敷を振り替える。
まだ奥まで続く廊下は、
暗くて先まで見えない。
今日の任務は、
跡取りである三人の人間を殺し、
屋敷を跡形もないほど燃やすこと。
先ほど全員の死を確認したが、
面白いことに次男が、
廊下まで這いずり出ていた。
凄まじい生命力だと思う。
そこまで生きたい理由は何なのか。
今の俺は知る術もないし、
知ろうとも思わないが
突き動かす「何か」があったのだろう。
「…あーぁ、なんだか毒気抜かれちゃった…。
早く次の物件探そう」
白手袋を外して時計を確認する。
現在時刻深夜01:58。
歩いていた廊下の行き止まりにある、
窓を全開に開いて、足を掛ける。
次にグググッと力を溜めて、
思い切り窓枠を蹴った。
身体が宙に浮く。
重力に従って落下を始めた。
「あの組織も、学校も止めよう。
個人で依頼を受けるんだ」
02:00 カチッ
ドオォオオオォォォォォン!!!!!
屋敷が大きな音を発て燃え上がる。
烏はもう、
この場から飛び去ってしまっていた。