黄昏の出会い
妖気が薄れるのを感じ、呪文で妖気を祓い、結界を解いた。


伊達メガネをかけ髪を纏めると、霊力が再び抑えられる。



-ここで自己紹介をするが、私は見ての通り、普通の学生じゃない。



-そう、私は陰陽師なのだ。



私の家-天瀬家は、代々続く陰陽師の家系で……私もその1人。



何でも平安時代に実在し最強と言われた陰陽師、安倍晴明の血を引く由緒ある家系……らしい。



だから当然普通は見えない“人ならざるモノ”-妖や幽霊が見えるし、それを祓う力がある。



で、私は天瀬家の1人として陰陽師の仕事をする事がある。



「-あら、天瀬さん。」


廊下を歩いている途中、呼び止められた声に振り返ると、担任の山田がいた。



「今日はもう帰るの?」

「はい。」

「そう…気を付けてね。」



そう言って山田は去った。



周りから見れば、何も変哲もない会話。


だが、山田の私を見る目は…「早く帰りなさいよ!」と言っていた。



「あ…、
あれって天瀬さんじゃない?」

「本当だ…
何でココにいんだよ。」



山田が居なくなった途端、私に気づいた生徒が私を見てひそひそ話した。



「相変わらず白いわよね…
気味が悪い。」

「あの髪といい、肌といい…
あいつ、本当は幽霊なんじゃないの?」

「じゃなかったら、雪女だったりして。」


「あいつ、今日は早く帰るみたいだな。」

「いつもこうならいいのに。」

「あんな幽霊みたいなヤツ、何時までも居られたくないよなぁ。」



…アンタら、聞こえてるんですけど。



周りの嫌悪の目に気づきながらも、反発する気もないのでそのまま学校を出た。




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