黄昏の出会い
「--うわっっ!?
ちょっ、何すん--」



「暴れるな。
落ちるぞ。」



氷室がいきなり私を抱き上げた。




驚いてジタバタしてたら警告されたので、大人しくする事にした。



そのまま私は氷室に抱き上げられながら、屋上を去った。




* * *



あれから私は保健室に連れられ、ベッドに(ほぼ強制に)寝かされた。



保健室は、氷室と私の2人だけ。



「……。」


「え?」



氷室が無言でペットボトルのミネラルウォーターを差し出した。



意図が分からないでいると、氷室がペットボトルを私の手に握らせて、離れた。


…飲めって言う事だろうか。




「あ…、
ありがとう。」


「いや。」



彼は素っ気なく返し、ベッドの横のイスに腰を下ろした。



一口渡された水を飲んで、改めて氷室を見る。



氷室は無表情でボンヤリと虚空を見つめている。



私の視線に気づいていないのか、微動だにしない。




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