黄昏の出会い
「…その代わり、
全て話せ。」



……あ、
やっぱ話さなきゃならんのね。


私は仕方なく話し出した。



* * *


「…陰陽師、か。」

「はい…。」


「…では、先程のは、その陰陽師とやらの力で?」


「…その通りです。」



そこで会話が途切れ、氷室は何か考えるような仕草をする。



氷室の無表情のせいか、奴の考えが読めない。



…本当に、口止めしてくれるよね…?



「ぜ…絶対に言わないでよ…?」


「…あぁ。
全て納得したからな。」


どうやら、
本当に口止めしてくれるそうだ。



彼のはっきりした返事に、少し安心する。



「…学校の様子がおかしかったのは、やはり妖怪の仕業か?」

「あぁ、
そういう事--」


…ん?ちょっと待てよ。



「分かるのか?
妖怪の仕業だって。」



問いかけると、氷室は少し考えて、


「……なんとなく。

昔から妙なのが見えるせいか、大体分かる。」





その言葉に唖然とした。



妖怪だけでなく、そこまで分かるなんて……。



「……強い……見鬼だな。」


「見鬼?」


「妖怪や幽霊が見える力の事。


力が強ければ強い程、はっきり見える。」



そう答えれば氷室はコテン、と首を傾げた。



頭の上に?マークが見えた………ような気がする。



「…我は、
そなたのように術は使えぬぞ?」



…なんか、
とんちんかんな返事をされた。



「…いや、見鬼は見えるだけ。


全ての見鬼が、
術を使える訳じゃない。」



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