黄昏の出会い
* * *

「だー!!
まだあるの!?」

「……ハア。」


あれから数十分後。


1人増えたハズなのに、終わる見込みがない。


青木の奴、散らかしすぎだろ!!



美術の青木先生。


まだ若い女教師なのだが……。



…新人なせいか、鬱陶しい程、ウザい。


ウザいだけでなく、整理下手なのか……。



内心ウンザリしてる所に、視線を感じる。


「……何?」


視線の主である氷室に、壁に寄っかかったまま話しかける。


氷室は私をジーっと見て、



「…本当に、天瀬なのか?」


「……ハ?」


何じゃそりゃ。


他に誰がいるんだ。


私の疑問を感じ取ったのか、氷室はバツが悪そうに目を逸らす。


「いや……。
随分と、格好が違うから……。」


「あぁ……、この格好ね。」


片づけやすいように、変装は解いたのだ。


当然、メガネを外して、髪も下ろしたまま。


そういや、外でこの格好でいるの、久々だな……。


ふと氷室は何かに気づいたように、指で数える仕草をする。

フリーズしたように動かなくなったと思ったら、再び私の目を見る。



「…3つだけ、聞いてもいいか?」


「…え?
い、いいけど…?」


な…何聞くつもりだ…?


何を聞かれるか分からず、恐る恐る身構える。



「1つ。
…そなたが陰陽師という事は、学校の人間で知っている者は?」


「…理事長だけ。」

「理事長?
…では、夏野は…?」

「エリカは知らない。
理事長しか、話してないから。」


ここにも1人、バレたのがいるけど…。



「…なら、理事長と我だけか……。」


コクリと頷いた。


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