黄昏の出会い
「なるほど。
…ではもう1つ。

どちらが本当だ?」


「……ハ?」


本当?何が?


首を傾けてみると、私の疑問を察したのか、


「…そなたは時によって、姿を変えている。

…どちらが本当の姿だ?」



あー……、変装の事ね。

なるほど、やっと分かった。


「あれは変装。
仕事とプライベートはこっち。」


「…使い分けているのか。

何故変装している?」

最後のは3つ目か?


そう思って、答える事にした。


「繁ジ……、祖父からそう言いつけられてる。
この姿は、霊力を隠せるから。」


そう言って、前にかかった髪を後ろに流す。


「………?
しかし、昨日は霊を倒していたであろう?
隠さずとも、退治できるのではないか?」


「まあ……一応ね。でもこっちの方なら、まず目つけられる必要ないから、楽なんだ。

一族の中じゃ、下の方だけど。」


「一族………。」


氷室がポツリと呟く。


「そうか。
……そろそろ、再開するか。」


氷室が目を向けた先。


………散らかっている道具達。


……今日中に終わんのか、コレ。



「…………ハア…。」


氷室も同じ事を考えてたのか、ため息。


こっちだって、ため息つきたいんですケド。



「………いいや。
もうアレ使うか。」

「?」


氷室の様子に無視して、符を4枚取り出す。


4枚の符に霊力を送り込む。


「出でよ、我が式。」


呪文を唱えると同時に符を床に投げると、ボンッ!という音と白い煙が経つ。


煙が晴れると、4人白い人が現れた。


よーし、出来た出来た。


「……これ、は?」


氷室が、唖然とした様子で聞いてきた。


「これは、“式”だ。」

「式?」

「簡単に言えば、霊力で出来た人形だな。
術士が符に念じて、姿形を変えて、意のままに操れるんだ。
他にも、動物とか虫にもなる。」


手伝いとか便利。手間が省けるから。



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