黄昏の出会い



* * *


-放課後。


あれから平凡に時間が過ぎていった。



……朝は非凡だったが。


…もう二度と電車には乗らねぇ……。



密かに心に誓った時だった。



「あ、
お-い、天瀬。」


廊下を渡っていると、世界史の山田が声をかけてきた。


「天瀬!
悪いんだがこのプリント、第2資料室に頼めるか?」



そう言って山田はドン、と私に渡していく。



…ちょっ、まだ了承してないんだけど。



「第2資料室は、旧校舎だから。
頼むな~~。」


山田はそう言うないなや、そそくさとどこかに行ってしまった。




……まあいいや、どうせ見回りあるし。




そう結論を出して、人気のない廊下を渡った。









* * *


「え-と………
確かこの先だよな……。」


旧校舎は、今の校舎から離れた所にある。



もう大分古くなって、生徒のほとんどは近寄らない(………とエリカから聞いた。)


「……天瀬?」



後ろから声がかけられた。



聞き慣れてきた、低くて静かな声---





「………氷室?」



後ろに振り向くと、声の主·氷室がいた。



「氷室……。
何でココに……?」


「帰ろうとした時、そなたを見かけた。」



淡々と氷室が答える。


スクールバックを持っているのを見て、本当なのだと知る。



不意に、氷室が私とは別に視線を向けていたのに気づいた。



視線を辿ってみると………私が持っている、もう使われないプリント。

< 55 / 62 >

この作品をシェア

pagetop