黄昏の出会い
「…どうした?」


「開かないんですけど。」


「…何?」


様子を見かねた氷室がドアノブに手をかける。



--ガタン!!ガタン!!


私の時のように、大きな音が出るだけ。

私の握力が弱い訳じゃないらしい。



…いやいやちょっと待て。


これって…
……まさか……。



少し間を置いて氷室がクルリと私に振り向いた。


氷室の何時もの無表情が……少し青ざめて見えた。



「………………



氷室、ケータイは……。」


「……修理に出している。


……そなたは?」


「…仕事用しかない。


プライベートの、部屋の中……。」



沈黙が、流れる。



「……もしかして…………



閉じ込められた……?」



「………………



その、ようだ。」







……ウソだああぁぁぁ~~~~~!!!



「完全下校で、多分生徒は我らのみ。

となれば、残るは教師殿だが………

ココは旧校舎。
…話では既に放置状態だと聞く。」


「…つまり助けが来る確率、ほぼ0って事か……。」


氷室がコクリと頷く。



一応、窓はあるが……資料室は3階。



私はともかく、氷室がムリだ。



完全に、密室状態。


「…ウソだろ…………。」


朝といい、今といい……


なんなんだ今日は!!厄日か!!


こんなマンガみたいな展開、いらないから!!


(陰陽師ってのも、十分マンガみたいだよ。)



今日1日、氷室と過ごせと?







……勘弁して。


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