僕のすべてを、丸ごとぜんぶ。
「…僕、初めて生で見ちゃった。…リアル三角関係。」
僕の言葉に、さっきの女の子…
宮藤さんが、びくりと肩を震わせた。
「だれ…、」
僕の姿を見て、宮藤さんは絶句した。
そしてそのあと、鋭い視線で僕を睨み付ける。
…これが、彼女の本性なんだ。
「さっきの『ゆきくん』って、宮藤さんの親友の、本田さんの彼氏だよね?」
僕は彼女にトップシークレットを突きつける。
「…っお願い、里桜には言わないで。」
目に涙を溜め、悔しそうにくちびるを噛む彼女に、僕の胸はざわざわと騒ぐ。
…何なんだよ、その表情。
「…どうだろうね。」
思いとは裏腹な。
僕の普段のポリシーとは正反対な言葉が、僕の口をついて出てきた。
「霞沢くん…っ、」
縋るような瞳と声で、僕を咎める彼女に、僕は何故かとてもいらいらする。
「…それは、宮藤さん次第だよ。」
今までにないほどの微笑みをたたえて、僕は彼女に言い放つ。
そして、彼女にさらに重い現実を突き付けるように、僕は彼女を残したまま、図書館を出て重厚な扉を閉めた。