僕のすべてを、丸ごとぜんぶ。
「…あの、よろしくね。」
前の席の女の子にも、一応声をかけてみる。
「…私は宮藤すずな(くどうすずな)。よろしくね、霞沢くん。」
前の席の女の子は、微かに振り返って僕に微笑むと、すぐに前に向き直った。
…何だろう、この違和感。
今感じた不思議な違和感に、僕は女の子の背中を見つめる。
前に座る女の子は、ストレートの長い髪。
ちらりと見ただけだけれど、多分、かなり綺麗な顔立ちをしてる。
自分からさりげなく名前を名乗ってくれるあたり、気の効く女の子なんだろう。
…申し分のない宮藤さん。
…この違和感は、何なんだ?
僕がそれを知るのは、二週間ほど後のことだった…──。