Oh!
湯川さんの声は、震えていた。

彼がどれだけ悲しく、つらく、悔しい思いをしてきたのか。

嫌でも知らされた。

「だからって…!」

口を開いたあたしを、
「復讐をただ見守っているだけの気持ちを、あなたは考えたことがあるんですか!?」

さえぎるように突然入ってきた第3者の声に、あたしは驚いた。

でももっと1番驚いているのは、湯川さんだった。

「――お前…」

視線を向けると、湯川さんの婚約者である浦野さんがいた。

浦野さんは、泣いていた。

泣いている彼女の隣にいたのは、
「――当麻…」

当麻だった。
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