Oh!
当麻の口が言ったことに、あたしは返すことができない。

「それで君が振り向いてくれるなら、僕は肉体関係でも構わない」

ちょっと待ってよ…。

「安奈がその関係を希望するって言うなら…」

「ちょっと待って!」

あたしが叫んだのと同時に、キキッと車が止まった。

赤信号だったから当たり前だ。

当麻があたしを見る。

「――あたし、当麻とそんな関係を望んでない…」

そう言ったあたしの声は、震えていなかっただろうか。

「セフレは、嫌」

コーヒー色の瞳があたしを見つめる。
< 33 / 115 >

この作品をシェア

pagetop