Oh!
笑いそうになった唇を隠すように、あたしはカップに口をつけた。

カップの中身は紅茶だった。

コーヒーはまだ飲めない。

苦いから嫌いと言うのは、ただの言い訳にしか過ぎない。

「――当麻」

カップを置いた後、あたしは彼の名前を呼んだ。

「んっ、何?」

彼が優しいのは、今も昔も相も変わらず。

彼の優しい性格を利用しようとするあたしも、今も昔も相も変わらずかも知れない。

「嫌なら、断っていいから」

再会して早々、あたしは彼を試した。
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