冬ごもり



……ちゅっ



小さなリップ音を響かせて
龍と私の唇が重なった。


「ははっ、目ぐらい閉じろよ」

なんだか嬉しそうに笑う龍の吐息がかかる。



「…な、なにしてんのー!!」

とっさに口を手で覆い叫んでしまった。


「塗りすぎたから俺に分けてもらおうと思って」

「拭けばいいだけ!」

「もったいないじゃん」


自分の唇をなぞる龍の指が妖しく瞳に映る。




「なんてな。…嘘だよ」
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