僕らは見上げる
龍がため息を一つついた。「高校生活ってこんな地味なのかな?」
たしかにこれといって楽しかった事がない。
「そうだよなぁ。まだ入学して少ししかたってないけど地味すぎるね」
「祥は何部入んの?」
「部活かぁ、まだ決めてないよ」
龍の顔が輝く。
「まぢかぁ!!じゃぁさっ、俺らで部活つくらねぇ!?」
その言葉の意味が理解できなかった。
普通、野球部に一緒に入って甲子園行こう!とか、陸上部で青春の汗を流そうとかだろ。
「ごめん、意味がわからないんだけど?」
「だからっ俺らで部活をつくって、この平凡な日常をエンジョイするのだよワトソン君」
こいつは頭がいかれてるのか?
しかもワトソン君って誰だよ!!
「意味はわかったけど、別に今ある部活に入ればよくない?」
「あまいねぇ、それじゃぁ先輩がいて楽しめねっつんだよ」
たしかにその気持ちはわかるけど、それが上下関係だ。
ふと龍が悲しそうな顔をする。
「やっぱ無理だよな」
入る部活も決めてないし、まっいっか。
「いいよ!やることないし」さっきまでと打って変わって笑顔になった。
< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop