好きなキモチ。
私が風景に浸っていると、翔太くんがこちらを見ながら手を差し出してきた。
…え?
「手、いらない?…砂浜って歩きにくいからさ」
更に手を差し出してきた。
…つまり、握れってこと?
翔太くんと交じり合う視線。
今は夏だから暑いに決まっているが、更に熱くなる。
心臓がいくらあっても保たない。
かっこよ過ぎるよ…翔太くん。
「顔、真っ赤。暑い?」
ブンブンと強く首を横に振ると笑われた。
「はは…可愛いっ」
そんな笑顔で言わないで…。
伝えたくなるから…
〝好き〟
〝アナタが好き〟
触れる指先から気持ちが伝わってしまえばいいのに──…。