青いバラの瞳
小学生の高学年の時、父が彼女を連れてきた。
お前の世話役だ、仲良くしろ、とだけ言って、部屋に置き去りにしていった。
彼女も私も困ったような顔になり、同じ表情につい、笑ってしまった。
父の金の力か、彼女は一つ年上で、年相応に勉学能力もあったようだが、私と同じ学年になり、中学、高校とクラスも一緒で、
いつも影のように控えていた。
私は根っからの地味な性格だったからかばん持ちや「お嬢様」呼ばわりが大変苦痛で、彼女に、友達付き合いを望んだ、
彼女はまた困った顔をする・・・・父の前以外では控えることで妥協しあった。
***
一つ上の彼女は背も高く、肌も浅黒くて、とても魅力的な美人だった、
そんな目立つ人を傍におくことも、気持ち、辛かった。
辛かったというが、もちろん彼女のことは嫌いでなかった。
とても快活で、部屋の掃除も手早く、私が頼んだ物を、細工物でもおやつでも、すぐに器用に作ってくれる。
勉強の解らないとこも、教わったし・・・すごく優秀な人だったのだ。
***
そして大学生になる頃、
彼女は突然出て行った。
私に一言「自立できるように強くなりなよ」と言って。
***
彼女はとても優秀な人だから、君の女中として、飼い殺しさせたくないから、こっそり支援して、それなりの学校へ行けるように色々と手配したんだ。
数年後に、教師や彼女の親友と言う子達から話を聞かされた。
「でも、数日前から、私たち誰とも連絡が取れなくなったの、心当たりはない?」
それを聞くために私に連絡してきたのだ、
まったく、あれ以来消息は知れないのだ。
*
ただ毎年バラの花束が届いた。
見覚えある筆跡、送り主の欄はいつも空白、消印はさまざま。
生存確認の義務なのか、几帳面に・・・私は調べることをしなかった。
*
本当は嫌われていたのだと、知った。
彼女は私の傍にいることを飼い殺しされると感じていたのか・・・。
そうだ、父の金の力でいつも地味でメンドクサイ私と一緒、ランクが上の学校にも行けない、
辛かったろう。
私は暫く凹みまくっていた。
*
そして、のろのろと始めるようになった、
彼女にいわれた、自立できる女になれるように、手料理を教わり、部屋の片づけをできるようにしていった。
それが、免罪符のように