青いバラの瞳
大学を卒業した年に父が急な事故で死んでしまった。
会社経営は兄が研修途中だが、後を引き継ぐには十分な能力があると言われ、重役の人のフォローでやっていけると、聞いた。
*
兄は妾の虐めに嫌な思い出があるため、妾たちをすぐに我が家から追い出した。
母もとても嬉しそうだった。
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着の身着のままで追い出された彼女達の行く末を少し案じたのは、
私も同じ女だからと言うより、お金のある家に取り付いていなければ生きていられない、
者だからだろうな・・・と考える。
彼女の自立できる女になるようにの忠告が実感できるようになってきて、
明日、いきなり住む家がなくなれば・・・・考えると怖かった。
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妾たちの部屋が空いたことでリフォームをとその晩、母や兄と話をしていて、兄が急に言い出した。
「ああ、思い出した、女達に割り当てられてた部屋でここ、一つ空いていたの、亡くなったんだっけ?黒人さんだったよね・・・」
「ええ、日本に来るときによほど酷い目にあったのね。いつも怯えていて、・・・・気の毒だったわ・・・まだ若いのに、異国の地で不安だったろうに、
珍しいからと、あの人は連れて来たけど、おどおどおとなしいので、面白くないと結局、ほっといたらしくて・・・・。
そういえばあの子、どうしたでしょうね」
あの子?
「傍付きの女中にさせるって、その黒人さんが生んだ子を・・・妾の子とはいえ、格下扱い、自分の子を。
自分の気に入った華は贅沢に着飾り、好きなことをさせて、飽きたら放置・・・。
妾たちもね、自分を飾るのは気に入られたいため。
お前達や、私に意地悪するのは不安と怖さから来る苛立ちのため。
ああ、私も同じ女として悔しく辛かった、全て事故死してくれたあの人の所為」