Nao


「しおん」


簡単に答えを出した矢野

ピクリと体が反応したが

気づかない振りをした

「美桜、ごめんね」

「そんな顔しないで、」


きっと彼の優しさだろう


「これだけ?」


コレだけ。

その意味がわかってる彼は驚く


「美桜、知ってるの?」

「なんとなくね。
あの頃、黙って居なくなったからさ…
きっと誰かしらに渡したりしてるかもなぁ。って思ったの。
でも矢野くんだとはわからなかった…この箱を見るまでは」


「箱?」

「その箱はね、私としおんと2人で選んだ指輪なの」

ハンバーグの様子をみつつ、彼女はちょっと待っててね。と言ってその場からいなくなる


矢野は、小さな箱をじっと見つめていた


「矢野くん」

寝室から出てきた彼女は、同じデザインの箱をテーブルに置いた


「これ」

「お揃い。バカみたいでしょう…今まで大事にとっておいた私」


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