Nao
「あーっ!!!!!」
午前7時10分
奈緒がテレビに釘付け
「奈緒、幼稚園おくれるわよ」
「ママ、ナオが出てる!!!!!」
キラキラした瞳には、今流行りのバンド。
ナオの4人組がいた。
「………また?この間買ったでしょうDVD」
「でも、でもでも…」
「さっ、消して…遅刻しちゃう」
「う~…」
しぶしぶ、テレビの電源を消して、奈緒は玄関へ向かう
「はい、忘れ物はなぁい?」
「…」
こくり、と小さく俯いた彼女
………はぁ
「じゃあ奈緒、駐車場までダッシュ!!!ナオのコーナー始まったばかりだから車で見よう!!」
「っ……うん!!!」
「じゃあ。よーい……スタートっ!!!!」
奈緒は生まれてから今まで、ナオの音楽が大好きだった
なかなか泣き止まないとき、悲しそうななとき、ナオを流せば笑っていた
お腹にいたときから聴かせてたからかな?
なんて思う
アナタが成長する度にナオがどんどん大きくなる
ワタシの手の届かない場所にいく…
それで良いと思った
ワタシとナオの距離はステージと客席の端くらいでちょうどいいのだ