Nao
「え、もったいなぁい…」
「なら、いる?」
彼女から渡されたのは小さな箱
指輪が入っててもおかしくないくらいの大きさ
「勘違いされるし…」
それを掴み、営業部へ向かった
矢野潤
この会社の跡取り息子
同級生で、よく飲みにも行くが…最近はこの手のプレゼントがたくさん
「矢野潤!!!」
見覚えのある後ろ姿に怒りが湧き上がる
「やぁ、みーちゃん」
片手を上げてニコニコ笑う彼は王子様と呼ばれるほど社内でも人気
「みーちゃんってキモイわよ!!!
毎週毎週…いい加減にして!!!」
「みーちゃん、朝から元気だねー…
今日さ寝坊しちゃって…むちゃくちゃ眠いんだ。もう少し「これ、お返し致します」
ずいっと押し付けた小さな箱
矢野は少し止まったが、また笑う
「みーちゃん返さないでよ、傷つくなぁ」
「何の真似?いい加減にして下さい」