グランドで死ぬと決めたコーチ
プレイボールの前に沢木に魔法の一言。

「今日の球場狭く見えるだろ?」

「はい。」

「芯に当たったらホームランになるから、楽に振り抜いておいで。

初球はストレートだから大丈夫。

良し。行ってこい!」

背中をドンと押して送り出した。

「プレイボール」

すると、カッキーンと鋭い金属音が聞こえたと思うと、球場の遥か彼方にボールが消えた。

プレイボールホームランだ。

人生で初めて生で目にした。

その後、快速球の前に撃沈し、終わってみればヒットはホームラン1本。

相手には打たれ放題。

誰が投げても無駄だった。

必死に考えたプランも無意味に終わった。
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