グランドで死ぬと決めたコーチ
その時、ふと気付くと光太郎まで泣いていた。

「光太郎。なんで光太郎も泣いてるの?」

と私が聞くと、

「だって、みんな泣いてるんだもん。

なんで泣いてるの?」

という光太郎の泣き顔に、大人3人クスクス笑い出した。

そして、お父さんが、「やっぱこうでなくっちゃ。

いくら辛くたって、僕達家族の心は、こんなに健康なんだね。

笑って乗り越えるよ。

この子達の未来のために、家族4人手を取り合って…」

と、お父さんが手を集め、重ね合わせた。

そして、なぜか私の手を取り重ね、最後にお父さんの手を乗せた。

「なんで、私まで!」

「いいから、いいから。

みんな、この手の温もり忘れるんじゃないよ。

これが、家族なんだ。

だから、みんな仲良く、元気よく、そして何より明るく頑張るんだぞ。」

と、まるで自分で自分に言い聞かせるように…

光太郎にも、意味が分からなくても、温もりは十分伝わっただろう。

私は、冬空の帰り道を、手に残る温もりを噛み締めながら歩いた。

人の温もりを大切に生きたいと考えながら…
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