これからは…
「いつもいつも独りよがりばっかりで。手に入れたいものをなりふり構わず手に入れようとして」

海斗が何を思っているのか、どうしたいのか、海斗が傷つこうが気にしない

「そういうあなたたちが大っ嫌い」

女というだけで、黒崎病院の跡取りだと知っているだけで

警戒心を示す出逢ったころの海斗

いつだって揺らがない背は、独りに慣れ過ぎているように思えた

「だからずっと言いたいと思ってたの。自分の気持ちを押し付けてくるだけの、家柄とか学歴に捕われただけの状況で海斗を傷つけないでほしい」

決して見せないけれど

そういう目で見られるたびに海斗の中で諦めが増えていくことを知っている

しるふが代わりに怒ってくれるから怒る必要性を感じない、

と彼は言うけれど

それは、つまりそれだけ効果がないということで

そこで海斗が何を言おうと周りの印象は変わらないということで

それを誰よりも本人が知ってしまっているということで

そんな状況を作りだした彼らが大嫌いだ
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