これからは…
冬の寒さが日に日に増していく11月
研修も大詰めを迎えていた
「うう、寒い」
今日は大物IT会社職員との合コンだっていうのに
テンションが下がってしまうじゃないか
マフラーを巻き直しつつ、暗くなった病院を歩く
ふと視線を上げると角から私服姿の海斗がスマホ片手に出てきた
へえ、家帰ってるんだ
なんて思ったのはこの4か月一度だって私服姿の海斗を見なかったから
「だから、されてない」
暗い、人気のない院内に小さく響く海斗の声
なんとなく聞き取ることができる
「鈍感?どの口がそんなことを言う」
そう言った後、少し間をおいて
「お前、ばか」
カシミヤのマフラーから覗く口元が、いつもはほとんど感情を移すことのない瞳が、声が
全く知らない人のそれになる
そして天井に申し訳程度に点灯している照明に反射する右手薬指にはまる指輪
一瞬のシルバーの輝き
「…なんだ、普通に笑えるんじゃない」
あれじゃ、落ちるわけがない
研修も大詰めを迎えていた
「うう、寒い」
今日は大物IT会社職員との合コンだっていうのに
テンションが下がってしまうじゃないか
マフラーを巻き直しつつ、暗くなった病院を歩く
ふと視線を上げると角から私服姿の海斗がスマホ片手に出てきた
へえ、家帰ってるんだ
なんて思ったのはこの4か月一度だって私服姿の海斗を見なかったから
「だから、されてない」
暗い、人気のない院内に小さく響く海斗の声
なんとなく聞き取ることができる
「鈍感?どの口がそんなことを言う」
そう言った後、少し間をおいて
「お前、ばか」
カシミヤのマフラーから覗く口元が、いつもはほとんど感情を移すことのない瞳が、声が
全く知らない人のそれになる
そして天井に申し訳程度に点灯している照明に反射する右手薬指にはまる指輪
一瞬のシルバーの輝き
「…なんだ、普通に笑えるんじゃない」
あれじゃ、落ちるわけがない